2008年10月22日

ゆうゆう学園物語<19>

結界の発する余波の影響だろう。
白いモヤのようなものが、学校中から溢れてきた。


窓から、扉から、屋上から、渡り廊下から。
中には壁をすりぬけてそのまま出てくる連中もいる。

四方を囲む校舎の至る所から、それらは出てきた。

とりわけ、あまり使われていない隅の方にあるトイレ、音楽室・使用されていない理科室・保健室・美術室などの方からが多いようである。

また、渡り廊下の向こう側。
校庭やら、体育館やら、テニス及びバレーボールコートやら、プールやら、部室塔やら、音楽堂やら、駐輪場やら、教師専用駐車場やら、家庭科部の菜園やら、生物部の花壇やら、ずらずらと並ぶ銀杏林やら……とにかく学校中のいたるところから、それらはやってきたのだ。


そして、結界内に入った途端に、実体を表したのである。



「それじゃあよろしく」

蔵馬の言葉を皮切りに、

「よっしゃー! いっくぜー!!」
「あいよー!」
「フン…」

飛び出してゆく3人。
連中の狙いはあくまでも生け贄にされた桑原であって、彼らではない。
しかし、向かってこられれば、抵抗するのが人情というもの……まあ、人間ではないわけだけど。

エサにありつこうとした己へと立ち向かってくる幽助たちを、彼らはしっかと「敵」と認識した。
敵となれば、倒すのみ。
低級霊やら低級の化け物というのは、蔵馬いわく思考が単純らしい。

迷わず、彼らは標的をかえ、幽助たちに飛びかかっていった。

が。


「おりゃああ!!」

ドカッ! バキッ! ドゴッ! ゲシッ!

蔵馬の張った結界の中では、幽助の霊力でも見えるだけでなく、ちゃんとダメージがいく。
元々、この世に存在するものは全て、微弱ながら霊力を帯びているのだ。


幽助は、原作と違い、普段はそれを扱う術を持たない。
それほど霊力が強くないからである。
強いて言うならば、一度死ぬ前の幽助…というところだろうか。

だが、蔵馬の霊力によって張られた結界では、腕力や脚力…つまり人間相手に使われる腕っぷしを、霊力に上乗せし、自由に使うことが出来るのだ。
上乗せといっても、元の霊力が大したことないのだから、実質は普段の喧嘩と変わらない。
それが霊に効くか効かないか、という具合だったが。

ちなみに実体がちゃんとある化け物(妖怪とかゾンビとか。とりあえず「肉体」があるやつ)には、蔵馬が何もしなくても、見えていればちゃんと通じたりする。
まあ、見えなくても、相手が襲いかかってくれば、捕まえてたこ殴りも可能なわけだが。



「ええーい!!」

バコン!! バシン!! バシコーン!!

蔵馬にもらった棒にて、霊をぶっ叩いていくぼたん。
霊といっても、低級霊であれば、触ることさえできれば、案外普通の人間でも対処出来たりするもんである。

そうでなくても、彼女はアニメにおいて、迷宮城の雑魚妖怪をバッドでぶん殴って倒した上、魔界虫に寄生された人間に追われた際、「手加減して倒すことなんて出来ないよ!」と叫び(つまり相手を思い遣らなければ、充分勝てたわけで…)、映画第一弾序盤では刀を持った邪鬼一族をオールでぶっ倒していたのである。
実は、普通の女子高生よりは、ずっと強い。

今回もいちおう蔵馬の指示通り、比較的弱そうな連中を相手にはしているが、意外と他もいけるのかもしれない……。



そして、いわずもがな。

「……」

無言で、バッタバッタと刀の錆にしていく彼。
銃刀法違反だと言われようが、やっぱり彼には剣が似合うでしょう!

……とはいえ、学生が日本刀なんて持てるわけないので、今持っているのは木刀。
何で木刀で「刀の錆」になるんだというツッコミは、この際なしで……。



「おいもういいだろ!! 下ろせ!! 俺にもやらせろ!!」

目の前でこんな楽しそうなこと(?)が繰り広げられているのに、未だ磔中の哀れな子羊・桑原和真。
3人を回避して(というか相手には不利だと思って)、桑原の方へと飛んできた『モノ』も多少はいるので、それらを相手にはしているが、如何せん両手両足の自由がきかないため、頭突きだの噛み付きだのだけ。
それも、大した数ではないので、正直退屈なのである。

が、生憎というか当たり前というか……誰1人聞いてはいないのだった。



「さて、そろそろいいかな」

自分へ向かってくる連中を倒しながら、さらさらと何やら書いていたらしい蔵馬。
それは、初めて幽助たちが蔵馬の「仕事」を目撃した際に、バーヴァン・シーに向けたもの。

あの時には、既に敵の名前も性質も理解していたので、あらかじめ作っておいたが、今回は相手が多すぎる上、名前なども分かるはずがない。
そういう場合は適当に弱らせてから、その状況を記載し、封印に必要な霊力などを換算していくのだ。


「よし。皆、行くよ」

「ええ、もうかよ?」
「小物相手に時間食ってもしょうがないだろう?」

それもそうかと、手を止める一同。
そして、次の瞬間。



『『『『『ぎゃああああぁぁああ!!』』』』』



あの日の光景が再現されたのだった。


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小物退治は終了。
後はでっかいの1匹ですね。

ここまでしばらく連続でカキコ出来たんですが、明日から1週間ほど微妙です。
すいません、また止まるかと…。
posted by 璃尾 at 12:02| 連載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする